誓約の成約要件は機密事項です
「行きたいところは?」
課長を巻き込んだことを咎めたいが、千帆は千帆で連絡を無視していたから、強く出られない。
涼磨としては、千帆は行くものとして決定しているらしい。どう断るべきか。
「あの……副社長」
「君は、初回面談、書類審査で不合格と言わなかった。この案件は、継続しているものとみなす。ならば、君は、僕と会う義務があるはずだ」
「ええ!? そんな横暴な……」
「何か不都合が?」
咄嗟に浮かぶほどの不都合はない。
なにせ、結婚相談所でも稀だろうと思わせる好条件の男だ。ましてや、明日は仕事のために一日空けていたことが、ばれている。
「……特にありません」
「行きたいところや食べたいものは、何かないのか」
焦れたような涼磨の言葉に、職場の緊張感が戻る。
千帆から見れば、涼磨は、上司の上司の上司の上司。千帆から見れば、父親のような年代の社員に対しても厳しい指摘をしている場面は、何度も目にしている。
「……紅茶が飲みたいです」
威圧に負けて出たのは、そんな言葉だった。
課長を巻き込んだことを咎めたいが、千帆は千帆で連絡を無視していたから、強く出られない。
涼磨としては、千帆は行くものとして決定しているらしい。どう断るべきか。
「あの……副社長」
「君は、初回面談、書類審査で不合格と言わなかった。この案件は、継続しているものとみなす。ならば、君は、僕と会う義務があるはずだ」
「ええ!? そんな横暴な……」
「何か不都合が?」
咄嗟に浮かぶほどの不都合はない。
なにせ、結婚相談所でも稀だろうと思わせる好条件の男だ。ましてや、明日は仕事のために一日空けていたことが、ばれている。
「……特にありません」
「行きたいところや食べたいものは、何かないのか」
焦れたような涼磨の言葉に、職場の緊張感が戻る。
千帆から見れば、涼磨は、上司の上司の上司の上司。千帆から見れば、父親のような年代の社員に対しても厳しい指摘をしている場面は、何度も目にしている。
「……紅茶が飲みたいです」
威圧に負けて出たのは、そんな言葉だった。