誓約の成約要件は機密事項です
じっと見られてしまうと分が悪く、不本意ながらも涼磨について行ってしまうのがパターン化しているような気がする。
良くない。
良くないとは思うが、必要以上に男性にも、ついでに言えば上司にも接触したことがなかった千帆は、どんなふうに言えば角が立たないのか分からない。
考え込んでいるうちに、涼磨は千帆を促して歩き出してしまう。
「お車は、どこにあるんですか?」
てっきり、同じビルの地下駐車場に置いてあるのかと思いきや、涼磨は地下通路をどんどん進んでいってしまう。
「僕のマンション。このすぐ近くだ」
どうやら一帯のビル群は、地下でつながっているらしい。涼磨は立派なエントランスをくぐって、あるマンションへと入っていった。
「部屋に上がっていくか?」
目を見開いた千帆を見て、バツが悪そうな顔をした。
――そんな顔をするなら、言わなければいいのに。
「冗談だ。もう遅いし、家まで送らせてくれ」
表情を消した涼磨に、問答無用で車まで連れていかれる。
流されるばかりの自分に、千帆の不安は膨らんでいく。
「副社長は……」
「涼磨と呼びなさい」
「……涼磨さんは、どうして……こんなことしてくれるんですか?」
「社員に何かあったら困るからな」
上司を振りかざされたら、受け入れるしかない。
良くない。
良くないとは思うが、必要以上に男性にも、ついでに言えば上司にも接触したことがなかった千帆は、どんなふうに言えば角が立たないのか分からない。
考え込んでいるうちに、涼磨は千帆を促して歩き出してしまう。
「お車は、どこにあるんですか?」
てっきり、同じビルの地下駐車場に置いてあるのかと思いきや、涼磨は地下通路をどんどん進んでいってしまう。
「僕のマンション。このすぐ近くだ」
どうやら一帯のビル群は、地下でつながっているらしい。涼磨は立派なエントランスをくぐって、あるマンションへと入っていった。
「部屋に上がっていくか?」
目を見開いた千帆を見て、バツが悪そうな顔をした。
――そんな顔をするなら、言わなければいいのに。
「冗談だ。もう遅いし、家まで送らせてくれ」
表情を消した涼磨に、問答無用で車まで連れていかれる。
流されるばかりの自分に、千帆の不安は膨らんでいく。
「副社長は……」
「涼磨と呼びなさい」
「……涼磨さんは、どうして……こんなことしてくれるんですか?」
「社員に何かあったら困るからな」
上司を振りかざされたら、受け入れるしかない。