誓約の成約要件は機密事項です
「……誠実で、優しく、清潔感があって、身だしなみがきちんとしている人。身長と体重は、僕より低い人。真面目に働いている人。希望年収、学歴の条件はなし。煙草は吸わず、ギャンブルはしないことだ」
「それって……私が言ったことですね?」
「たまたま僕も同じだった。何か不都合が?」
「そのくらいの条件なら、他に合う人がいくらでもいると思いますけど」
「いるようで、いないものだ。僕は、君の仕事ぶりを見ていて、実際に真摯に仕事に向き合い、努力を惜しまず、気の良くつく女性だということを知っている。これは、大きなアドバンテージだ」
思いがけず褒められたようで、一瞬千帆の頭が真っ白になり、頬は真っ赤に染まった。
「そうかもしれませんが……もっと良いお家の人とか」
恐る恐るそう述べれば、涼磨は鼻で嗤った。
「家がどんなに立派だろうが、本人が良い人間だとは限らないし、面倒も多いものだ。それは、嫌と言うほど見てきた。それならば、自分と共に働いた自社の社員の方が、信用できる」
「ご両親も、それでいいんですか? ご長男ですよね?」
「よほどのことがない限り、家族は喜びこそすれ、僕の判断に反対はしないだろう。ついでに言っておくと、長男だが、姉がいて両親と同居している。家の方は、姉が相続するから、多くは望まないでほしい。その分、会社は僕が継ぎ、姉夫婦は口出ししないことが決定している」
「はい……」
「それって……私が言ったことですね?」
「たまたま僕も同じだった。何か不都合が?」
「そのくらいの条件なら、他に合う人がいくらでもいると思いますけど」
「いるようで、いないものだ。僕は、君の仕事ぶりを見ていて、実際に真摯に仕事に向き合い、努力を惜しまず、気の良くつく女性だということを知っている。これは、大きなアドバンテージだ」
思いがけず褒められたようで、一瞬千帆の頭が真っ白になり、頬は真っ赤に染まった。
「そうかもしれませんが……もっと良いお家の人とか」
恐る恐るそう述べれば、涼磨は鼻で嗤った。
「家がどんなに立派だろうが、本人が良い人間だとは限らないし、面倒も多いものだ。それは、嫌と言うほど見てきた。それならば、自分と共に働いた自社の社員の方が、信用できる」
「ご両親も、それでいいんですか? ご長男ですよね?」
「よほどのことがない限り、家族は喜びこそすれ、僕の判断に反対はしないだろう。ついでに言っておくと、長男だが、姉がいて両親と同居している。家の方は、姉が相続するから、多くは望まないでほしい。その分、会社は僕が継ぎ、姉夫婦は口出ししないことが決定している」
「はい……」