誓約の成約要件は機密事項です
ものすごく、ラッキーなことだろう。
結婚相談所に大枚はたいて入会するのは早かったんじゃないか、なんてこともチラッと過ぎった。
でも、違う。
入会したからこそ、あそこで那央と話すことになったのだし、それを涼磨に聞かれることになったのだ。
チャンスをふいにするわけにはいかない。
気合いを入れ直すと、逸る気持ちを抑えて千帆は待ち合わせの駐車場に足を踏み入れた。
探すまでもなく、涼磨はもう来ていた。
「すみません、お待たせしましたか」
慌てて駆け寄りながら時計を確認する。まだ約束の15分前だ。
「いや。今日は、残業なかったんだな。待たせて悪かった」
「いえ、こちらこそ! 早く上がられたのなら、教えていただければ……」
そこまで言いかけて、口を閉じた。涼磨の連絡先は教えてもらったが、千帆の連絡先は教えていない。涼磨は、連絡したくてもできなかったのだろう。
「そうだな。君の連絡先も知らせてくれ」
そう言いながら、涼磨が一台の車に近寄った。わりとよく見かける黒い国産のハイブリッドセダンだ。
助手席のドアをわざわざ開けてくれるという、紳士的な行為にまず驚く。社長一家ともなると、こういうことも教え込まれているのだろうか。
慣れない千帆は、車に乗り込むだけで、息切れしそうにドキドキしてしまう。
結婚相談所に大枚はたいて入会するのは早かったんじゃないか、なんてこともチラッと過ぎった。
でも、違う。
入会したからこそ、あそこで那央と話すことになったのだし、それを涼磨に聞かれることになったのだ。
チャンスをふいにするわけにはいかない。
気合いを入れ直すと、逸る気持ちを抑えて千帆は待ち合わせの駐車場に足を踏み入れた。
探すまでもなく、涼磨はもう来ていた。
「すみません、お待たせしましたか」
慌てて駆け寄りながら時計を確認する。まだ約束の15分前だ。
「いや。今日は、残業なかったんだな。待たせて悪かった」
「いえ、こちらこそ! 早く上がられたのなら、教えていただければ……」
そこまで言いかけて、口を閉じた。涼磨の連絡先は教えてもらったが、千帆の連絡先は教えていない。涼磨は、連絡したくてもできなかったのだろう。
「そうだな。君の連絡先も知らせてくれ」
そう言いながら、涼磨が一台の車に近寄った。わりとよく見かける黒い国産のハイブリッドセダンだ。
助手席のドアをわざわざ開けてくれるという、紳士的な行為にまず驚く。社長一家ともなると、こういうことも教え込まれているのだろうか。
慣れない千帆は、車に乗り込むだけで、息切れしそうにドキドキしてしまう。