誓約の成約要件は機密事項です
真上から睨みつけられて、千帆は竦み上がった。
「何が気に食わない」
「……別に何も」
涼磨にケチをつけるところなんて、あるはずもない。
「僕で問題ないなら、なぜ婚活をやめない? なんで他の男と会う」
忘年会での話を聞いていたのだろう。那央が随分宣伝してくれた。
「結婚するまで、やめませんよ。結婚相談所には、誰かと“真剣交際”のステータスになるまで紹介し続けてもらえますから」
「その“真剣交際”のステータスには、どうやったらなれるんだ。僕の何が悪い。はっきり言いたまえ。そうすれば……そうすれば、付きまとうのもやめよう」
急に落ち込んだトーンに、千帆は初めて顔を上げた。
「……それでいいんですか」
「仕方あるまい」
苦渋に満ちた涼磨の顔は、千帆と目が合うと、さらに険しくなった。
「確かに副社長は、条件を十二分に満たしています。私……どうしていいか分からないんです。良さそうな人がいたら、結婚しようと決めていたんです。でも、それでいいのかなって、分からなくなって……」
額におもりが入っているかのように、頭が傾いでいく。
「結婚……したくなくなった?」
「したいです」
その気持ちは、変わらない。結婚は、したい。
でも……心の奥で、何かが拒絶する。
「何が気に食わない」
「……別に何も」
涼磨にケチをつけるところなんて、あるはずもない。
「僕で問題ないなら、なぜ婚活をやめない? なんで他の男と会う」
忘年会での話を聞いていたのだろう。那央が随分宣伝してくれた。
「結婚するまで、やめませんよ。結婚相談所には、誰かと“真剣交際”のステータスになるまで紹介し続けてもらえますから」
「その“真剣交際”のステータスには、どうやったらなれるんだ。僕の何が悪い。はっきり言いたまえ。そうすれば……そうすれば、付きまとうのもやめよう」
急に落ち込んだトーンに、千帆は初めて顔を上げた。
「……それでいいんですか」
「仕方あるまい」
苦渋に満ちた涼磨の顔は、千帆と目が合うと、さらに険しくなった。
「確かに副社長は、条件を十二分に満たしています。私……どうしていいか分からないんです。良さそうな人がいたら、結婚しようと決めていたんです。でも、それでいいのかなって、分からなくなって……」
額におもりが入っているかのように、頭が傾いでいく。
「結婚……したくなくなった?」
「したいです」
その気持ちは、変わらない。結婚は、したい。
でも……心の奥で、何かが拒絶する。