この痛みが、もう少し続きますように。
高校三年生。卒業まであと半年。
この学校は好きでも嫌いでもなく、これから悔いがないように思い出作りをしようなんて気はさらさらない。
この間まで茹だるような暑さだったのに、いつの間にか肌寒くなり、気温は私の性格と同じように冷たく下がりはじめている。
「これ、A組のノートです」
運悪く日直の順番がきて、私は集めたノートを科学室へと持っていった。
部屋からは、ほのかに煙草の香り。校内で喫煙なんて、本当に不良教師。
「お、宮村。悪いけどそこ置いといて」
先生はドアの横にある腰丈の棚の上を指さす。
全然忙しそうじゃないのに、そんな素振りを見せて。先生が使ってる机だって広げているのはプリント一枚で、30人分のノートなら余裕で置ける。
これは近づくなって、警告だ。
だけど、そんなの私が守る必要なんてない。