この痛みが、もう少し続きますように。
手帳には写真が挟んであり、半分以上見えていたし、好奇心で引き抜くとそこには美人の女性が写っていた。
戻ってきた先生はかなり慌てていて、『彼女ですか?』と聞くと『誰にも言うなよ』と、婚約者のことを話してくれたのだ。
公言すれば女子生徒が発狂するほど騒ぐことは目に見えていたし、プライベートなことだから、籍を入れるまでは誰にも言うつもりはないと、照れながら言った。
その時の先生は、とても可愛かった。
口が悪くて、学生気分が抜けてないまま教師になったんじゃないのってぐらい生徒と友達のような関係で。
だから、私はあまりいい印象はなかったはずなのに、
『俺にはもったいない人だよ』なんて話す先生は、本当に本当に私が知っていた先生ではなかった。