この痛みが、もう少し続きますように。


それから先生に会うたびに『彼女さんとはどうですか?』『結婚式には呼んでください』と、内緒で話すようになり、暇さえあればこの場所へと遊びにきていた。

先生は『暇人』と、からかうことはあったけど、私がここに来ることを嫌がらなかった。


むしろ『進路は大丈夫なのかよ』と心配してくれて、

『私、頭いいので余裕です』と返すと、くしゃりとからかうように頭を撫でる。


先生の秘密を知ったことで、距離感はかなり近くなっていた。


そんな日々が1か月以上続き、夏休み。


大学受験のための夏期講習を終えた帰り道に、私は先生の愛車である黒色のセダンを見つけた。

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