仮面のシンデレラ《外伝》
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ガタン…、ゴトン…
映画の後に軽くディナーを済ませ、電車に揺られる2人。
完全にデート気分だった僕は、今日、彼女の時間を独り占めできた事に満足していた。
内心、嬉しくて仕方がなかったんだと思う。
彼女の態度からしても、学内で会う時よりも距離が近いような気がした。
親密度が上がったことは間違いない。
「もう、夜になっちゃったね。」
彼女が車窓から外を眺めて呟いた。
腕時計は、午後8時を指している。
闇に包まれたビル群がチカチカと光っていた。
僕は、そんな彼女に尋ねる。
「エラは大学の最寄りの駅で降りるの?」
「うん。湊人くんは次の駅で乗り換えだよね?」
「…そうだね。」
別れが近づくにつれ、僕は何だか焦ったくなっていた。
今日、どうこうなるつもりもなかったが、ただ純粋に彼女と別れるのが寂しかった。
(…子どもか、僕は…)
余裕のあるフリをして乗り換えの時間を調べる。
と、僕が降りる駅に近づいてきた
その時だった。