仮面のシンデレラ《外伝》
「そうだ、湊人くん。」
鞄に本をしまうエラが、ふと声をあげた。
「今度、一緒にご飯いかない?」
僕は、彼女が見せてきたスマホの画面を覗き込む。
「イタリアンビュッフェ?」
「うん。ここ、安くて人気みたい。」
エラは、「この前いい映画を教えてくれたお礼に、美味しいお店を紹介しようと思って…!」と緊張したように早口で言った。
僕の様子を伺うように見上げる彼女は、少し不安そうだ。
「いいね。行こっか。」
「ほんと?…やった!」
にこにこする彼女は、トトト…、と画面をスクロールして楽しそうに僕に見せる。
「こことか、こことか…。…あ、ここも美味しそう…!」
リーズナブルなお値段のお洒落なお店が、次々と表示された。
僕は、お店を吟味している彼女に、ふと尋ねる。
「ずいぶん、いっぱい調べたんだね。もしかして、カフェ巡りとかが趣味なの?」