仮面のシンデレラ《外伝》
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「…ん、ん……っ…」
そのまま、欲に任せるように唇を重ねた。
何度も奪うキスの合間に溢れる吐息。
…ドン…!
壁にもたれかかる彼女へキスの雨を降らせる。
「…はっ……」
離れた唇。
彼女は僕を見上げたまま瞳を潤ませた。
それは先ほどの涙ではない。
…ぐいっ!
軽々と抱き上げた体。
僕に身を任せる彼女を、そのままベッドに運ぶ。
ギシ…!
出来るだけ優しく降ろしたつもりだが、さすがに余裕がない。
数秒見つめ合い、どちらからともなく唇を重ねた。
…ポゥ…ッ!
その時。
エラの体が光を帯びた。
だんだんと空色の魔力に包まれる彼女。
漆黒のロングヘアが、息を呑むほど美しい銀髪へと変わっていく。
時計の針は、“午前12時”を指していた。
「…っ…」
ぱっ、と、彼女が顔を背けた。
腕で覆い隠そうとする彼女を、僕は、きょとん、と見つめる。
「エラ…?」
「…み、見ちゃやだ…」
そっ、と腕を退けると、初めて見る姿の彼女がそこにいた。
髪と瞳の色だけが違う。
「…なんで隠すの?」
「…は、恥ずかしいもん…」
優しく、頬にキスを落とす。
目を丸くする彼女に、僕は微笑んだ。
「…綺麗だよ。」
「!」