仮面のシンデレラ《外伝》
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「わぁ…!すごい…っ!!」
数分後。
ここは大学の図書館の地下。
僕の学生証で書庫へと入った彼女は、目を輝かせて本棚を見上げていた。
「これ、全部昔の童話ですか…?!」
「うん。…僕はあまり詳しくないけど、古文の時代の書物らしいですよ。」
彼女は、手当たり次第に本を手に取り、大事そうにページをめくっている。
「…気になるもの、見つかりましたか?」
「はい…!今日のところは2冊ほど!」
初めて僕に笑いかけた彼女は、僕が反応する前に、はっ!として口を開いた。
「あの…ここにある本って、借りられるんですかね?」
「…!…えーと…地下の書庫の本は…一般の方への貸し出しはしてなかったような…」
僕の言葉で、明らかに落ち込む彼女。
僕は、小さく呼吸をして彼女に声をかけた。
「…僕の学生証で借りますか?」
「いいんですか?!」
それを待っていたかのような反応に、僕はつい吹き出した。
くすくすと、肩を震わせて笑う僕に、彼女は「ご、ごめんなさい…」と小さく謝る。
「いいですよ。…貸して?」
差し出した僕の手に、おずおずと本を乗せる彼女は、僕への警戒心を完全に解いたようだった。