仮面のシンデレラ《外伝》
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「…ミナト、いた…?」
「あぁ。うじゃうじゃね。」
城を囲む茂みから、ひょこっ、と顔を出し、様子を伺う2人組。
僕らの視線の先にはトランプの腕章をつけた男たちの姿があった。
僕は、警戒しながらチェシャに尋ねる。
「…あれがジョーカー?」
「うん。エラを連れていった奴らも同じ制服を着てた。」
チェシャの言葉に、目を細めて警備隊を見つめる。
ちらりと城門に視線を移した僕は、高速で頭を回転させていた。
(…城の扉の前に警備が3人。高台と庭に2人ずつ。ざっと見渡しただけで7人か。…正面突破は厳しいな。)
下手に動いたら空から見つかる。
死角などない。
(牢に向かうには城内に入るしかないけど。…でも、一体どうすれば…)
…と、僕が眉をひそめた
その時だった。
「ミナト。なんでそんな難しそうな顔してるの?」
「…いや、彼らの目をかいくぐって進むのは骨が折れそうだと思ってさ。」
「?そんなの簡単だよ!」
(?)
目を丸くすると、チェシャがローズピンクの瞳を輝かせた。
魔力がぼわっ!と、広がっていく。
「…僕の魔法にかかれば、どんな“イケナイこと”だって出来ちゃうよ?」
いたずらっ子のような顔を浮かべたチェシャが、僕を見つめてニヤリ、と笑った。