仮面のシンデレラ《外伝》
…と、次の瞬間だった。
ピリッ!
(!)
わずかに、体に違和感を感じた。
まるで、何か“見えないバリア”に触れてしまったかのような。
そして、それと同時にぞくりと体に震えが走る。
(…!まさか…)
『おい、何者だ!』
『囚人が逃げ出したか?!』
背後から男の声が響く。
ランプに照らされた影はガタイのいい2人組だ。
チェシャが焦ったように呟く。
「!ジョーカー…?!」
(…罠か。気づかれたな。)
僕は、すっ、とチェシャの手を取った。
「走ろう!姿が見えていないうちに…!」
タッ、タッ、タッ…!
バタバタと走る音が辺りに響く。
『待てっ!!』
足音を追うように軍服を着た男が迫ってきた。
動揺を隠せないチェシャの声が小さく届く。
「ミ、ミナト!どうしよう…!」
「この廊下には“センサー”みたいなものが付いてるらしいね。透明になったといっても居場所がバレる…!」
「そんな!」
(とにかく、どこか死角になる場所があれば…!いっそのこと、どこかの牢屋に忍び込むか…?)