仮面のシンデレラ《外伝》
「ん…っ!」
流れるように重なった唇。
呼吸も出来ないような深いキスが交わされる。
エラもそれに応えるように僕の首に腕を回した。
「…は…っ…」
乱れた呼吸が牢に響く。
空色の瞳と目が合った時、僕はそっ、と囁いた。
「…僕はエラしか見てないよ。」
「…!」
嬉しそうに微笑んだ彼女。
甘い空気が流れる。
エラは、少し言いづらそうに僕に切り出した。
「…実はね、トレメインさんなの。私のお義母さん。」
「え…!」
驚愕の事実に言葉を失う。
なんとも複雑な心境に喉が詰まった。
エラは静かに呟く。
「お義母さんがいなかったら湊人くんはここに来れなかったのよね…。…私、あの人のことを誤解してた。やっぱり、お義母さんはいい人だわ。」
ぽつり、と響いたその声は、僕の心に深く突き刺さった。
小さく息を吐いた彼女は、まつげを伏せてそっ、と言った。
「…最後に湊人くんと会えてよかった。」
(!)