仮面のシンデレラ《外伝》


淡く光る空色の瞳は、弱々しく揺れている。


「…逃げよう、エラ。」


「え…?」


「一緒にここを出るんだよ。このままじゃ、“処刑”されてしまうんだろ…?」


僕は、エラを助けるためにここに来たのだ。

しかし、彼女は僕の言葉に頷かない。


「それは無理だよ、湊人くん。」


「…!…どうして…!」


すっ、と目の前に出された彼女の腕。

そこには見慣れない“トランプの刻印”が刻まれていた。


「これは“罪人の印”。これがある以上、私は城から出られないの。」


「!!」


(嘘だろ…!)


目の前が真っ暗になっていく。

動揺する僕とは裏腹に、穏やかな表情をしたエラ。

僕は気持ちの整理がつかず、彼女の肩を掴む。


「それを消す方法はないの?…そうだ、僕の魔法で…!」


「だめよ。…そんなんじゃ効かない。これは、私が死んでも消えないの。」


どくん…!


“私が死んでも”


その言葉が、ぐるぐると頭の中を駆け巡った。

鈍く音を立てる心臓。

カタカタと指が震えた。


ドンドンドン!


その時、牢の扉が叩かれる。


「まずいよ、ミナト!ジョーカーたちが集まって来た!ここにいることを気づかれたみたい…!」


(!)


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