仮面のシンデレラ《外伝》
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ザァァァ…!
ざわざわと音を立てる木の葉。
風に吹かれる樹海の木々は、不気味な魔力に包まれている。
郊外の森に人の気配はない。
…サク…
一歩、足を踏みいれた。
ひんやりとした空気が頬を撫でる。
無言で進むと日光の光が遮られ、辺りはだんだんと薄暗くなり始めた。
…♪♫〜♩♪♬〜♪…
(…!)
風に乗って、不思議な歌が聞こえる。
『ここは不思議の森〜♪小さいものが大きくなって〜♪見えないはずのものも見える〜♪』
低く伸びる声が木々に反響した。
『…会えないはずの人に会えて〜♪大切な人の夢も見れる〜♪』
(…!)
どきり、とした。
微かに聞こえる歌声に、無意識のうちに足早になる。
息が上がるのと同時に、焦りがこみ上げた。
…タッ、タッ、タッ…!
僕は、きょろきょろと辺りを見回す。
見たこともない植物が芽吹き、奇怪な鳥が鳴いていた。
しかし、そこに“彼女の姿”はない。