仮面のシンデレラ《外伝》

…と、その時だった。


ガサガサガサ…ッ!


(!)


突然、頭上の木が揺れた。

グニャリ、と歪んだ木の枝が、みるみるうちに“鋭い槍”へ形を変える。


「っ!」


“あの森は侵入者を拒む!命を落としたっておかしくないんだ!”


チェシャの声がこだました。

全身の血の気が引いて、恐怖で体が動かない。


“やられる…!”


狙いを定めて襲いかかる切っ先に命の危険を感じた

次の瞬間だった。


パァン!


「!!」


薔薇色の魔力が閃光を放ち、迫り来る槍が一瞬で吹き飛んだ。

どくん!と脈打つ体に、トレメインの魔力が流れる。


ザァァァッ!!


辺りを突風が吹き抜けた。

僕の魔力に共鳴するようにざわめく森。

そして、行く手を阻む木々や罠が煙のように消えていった。


(…!)


つい、はぁっ、と息が漏れる。

緊張の溶けた体に、じんわりと血が巡った感覚がした。

するとその時。

僕の視界にちらり、と“影”が映る。

その姿を見た瞬間、僕は目を見開いた。


「エラ!!」

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