仮面のシンデレラ《外伝》
白い封筒に書かれていた差出人を見て、僕は目を見開く。
“Era”
綺麗な筆記体で浮かぶ文字は、手帳で見慣れた彼女のものだった。
息が止まる。
「…ど、どうしてこれを…!」
彼は、人間を嫌うこの国の住人。
しかも、禁忌を犯してこの国に侵入した人間を狩るべき“ジョーカー”だ。
すると、男性は表情を変えずに僕に答えた。
「何故と聞かれたら、そんなのただの気まぐれだ。他に理由などない。…安心しろ。中は見てない。」
僕は、信じられずに彼を見つめた。
こいつに、僕を捕らえる気はないのか?
目の前に国を揺るがす存在が居るんだぞ?
その時、そんな僕の視線に気づいたロミオが小さく口を開いた。
「さっき、お前も自分で言っただろう。“人間を捨てた”と。今さら処刑したところで無意味だ。…なんせ、お前にとっては“生きていること”の方が罰だろう?」
(!)
「…もう、俺はお前を捕まえようなんて思わない。…わざわざ惚れた女の後を追おうとするやつの手助けをする気にはなれんのでな。」