仮面のシンデレラ《外伝》
ばさり、と純白のマントがなびいた。
ロミオは僕に背を向けて、ふっ、と横顔を見せる。
「…文はちゃんと届けたぜ。俺の仕事はここまでだ。」
ふっ、と魔力を放つジョーカー。
消える間際、彼は小さく呟いた。
「…このまま折れるなよ。」
「…!」
彼は音もなく消え去った。
しぃん、と辺りが静まり返る。
…カサ…
手の中の封筒が、やけに重い。
表には綺麗な字で“湊人くんへ”と宛名が書いてあった。
僕は、ゆっくりと封を開ける。
…どくん、どくん。
体が脈打つ。
中に入っていた便箋を静かにひらくと、そこに綴られていたのは、けがれのない彼女の“言葉”だった。