仮面のシンデレラ《外伝》


チェシャのローズピンクの瞳が揺れている。

動揺する彼は、やがて僕の意思を汲み取ったかのように瞳の色を変えた。


「…ミナト…」


ぽつり、と呟かれた名に、目を細める。


「チェシャ。…“ミナト”は死んだんだ。エラとともにね。」


ぽうっ!


桜色の瞳を輝かせる。

アッシュブラウンの髪が白に変わった。

見上げるチェシャに、ふっ、と、笑みを浮かべる。


「この瞬間から、僕は“ウサギ”。一人では生きられない、寂しがりやな、ただの魔法使いだよ。」


「…!」


チェシャは、数秒動きを止め、そしてふっ、と表情を緩めた。


「…“寂しがりや”…?僕と一緒だね。」


くすり、と、笑った彼は、全てを理解して受け入れたように僕を見上げる。

その瞳には、僕と同じ“覚悟”が宿っていた。


「…改めてよろしく、チェシャ。」


「うん!」


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