仮面のシンデレラ《外伝》
導き


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…こうして、“ウサギ”は生まれた。

魔法使いの仮面を被った僕は国家公務員の試験を受け、その年の暮れに、晴れてシオリビトとなった。

僕は、人間界での拠点として家をそのままに、生活をチェシャの家へ完全にシフトした。


…そして、あの運命の日。

僕は、駅前の図書館にいた。


(…ふぅ…。ざっと、こんなもんかな。)


絵本の束を抱え、よっ、と、体を起こす。

いつか見た“彼女”のように。

童話コーナーに並ぶ背表紙を眺め、見落としがないか視線を移していく。


(…あ…)


ふと、止まる。

“シンデレラ”の背表紙だけが、やけに眩しく見えた。


…すっ…


思わず手に取り、本を見つめる。

表紙に描かれたシンデレラは、エラと似ても似つかない子ども向けのイラストだが、僕はそれをじっ、と見ていた。

…と、その時だった。


「お兄さん、絵本が好きなの?」


「え…?」


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