夜桜




「……ありがと。」




男の子は助けられたのが不満だったそうだ。






「1人なの?」





そう言うと、男の子の瞳が大きく揺れた。







「…親が、死んだ。親戚もいない、兄弟もいない。…1人で生きてきた。それをバカにするやつが…許せなかった。」





男の子は、月明かりに照らされて綺麗な涙を流した。







「…そっか。」






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