金曜日の流星群
第五章

私情

「ナツメ、ジャングルジム登れるの?」


「シオちゃん、登れないんだ」


「むー、危ないよ」


小さい男の子に小さな女の子。
二人は大人から見たらそんなふうに見えてても、小さな女の子からしたら男の子は大きくて、かっこいい人だった。

ジャングルジムを必死に登っていく男の子にしたからひたすら声をかけ続ける女の子。

星はそんなふたりを見守っていた。



「お星様に届くのかな、ヒーローなら、私たちのお願い、聞いてくれるかな」



「届くよ、きっと!ヒーローは不滅だもん!」



「キャハッ!ふめつっ!」


男の子は自信満々に空に手を突き出した。
女の子はジャングルジムの上のそんな男の子に憧れていた。


あの日、星がヒーローだって信じて疑わなかった二人はヒーローに願いが届いたんだろうか…
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