金曜日の流星群
あっさり流しかけて慌てて引き下がる。
これは何食わぬ顔で言うナツメ君に非がある!



「親が厳しくって、ほら俺死ぬじゃん?だから跡取りが兄だけってなって力入りすぎたんだよ。親小さいけど会社してるから」



「社長なの!た、大変だねナツメ君のおうちは…」



同情じみた返しをしてからしまったと顔をしかめる。こんな返事はきっとナツメ君に失礼だ。
病気のことで沢山うわべだけのねぎらいを受けてきたはず。
それがどれだけ辛いか私も少なからず知ってるから。



「よくある話でしょ?」



「よくはないと思うけど、私も母親がでてってるからなぁ」



ポロッと零す。
身の上話を誰かに自らしたのは何年ぶりだろう。もしかしたら、初めてナツメ君に会った日以来かも…。
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