金曜日の流星群
「い、いくらだった?」



慌てすぎて噛む私を案の定ナツメ君はここぞとばかりにからかう。
また顔から火が出そうになる私は財布のファスナーをやたらと大きい素振りで開けて小さな抵抗をした。

それさえ見透かされている気もする。



「いいよ、このぐらい」



「え、でも」



「ほら、デートは男が払うものでしょ?」



この笑はまだからかっている笑でしょうか。
それともただ単純に優しさですか?

ナツメ君はわかりやすい表情をしてるフリをしていつもどこか気持ちと矛盾した顔をしているからたまに分からなくなる。

今だってデートなんて禁句を口にしてるくせに飄々としてるし。
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