金曜日の流星群
「とてもいい星空でした。」



ナツメ君はちょっと悲しげではあるけど心が澄んだようだ。
いや、元から汚れてなさそうだけど。



「流星群。久しぶりに見たな」



「へぇ、毎年夏は見てるよあの公園で。」



ナツメ君は自慢げに笑う。
そうか、やっぱりあの日“明後日”と呼ばれたあの日に流星が降ったのは偶然じゃ無かったんだ。



「小学生になる前に見た、公園で」



一人でって言うのが何故か恥ずかしくて意地を張って隠す。ナツメ君は目を一瞬マン丸くさせていたが、細めてホットしたような微笑を魅せた。



「見れたんだ」



「綺麗すぎて泣いちゃった」



お互い、あの日の記憶は鮮明のようでなのにどちらも話題に出さない。
< 145 / 244 >

この作品をシェア

pagetop