金曜日の流星群
「お母さんがいなくなった時、私はお母さんが嫌いになっちゃったんだ。ナツメ君はお兄さんを恨んでいない。なら…」



私はお母さんが好きじゃなくなった。
家を出て言った日、さよならも言わずに振り返りもしない母の姿は傲慢そのものに見えた。

でもナツメ君は本当にお兄さんが好きだから。私と違って帰ってきてほしいと思っているのなら…。

気が付かないうちに握りしめていた手を見つめる。



「連絡できるなら、ありったけの気持ち伝えなよ」



私の言葉はチグハグだ。
ナツメ君は鳩が豆鉄砲を食らったかのよう。



「あ、え…紫音?」



「ごめん」
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