金曜日の流星群
「え?」




ふわりと笑うナツメ君に困惑するのはこっちの方だ。
私の辞書には既に登録されている言葉なのに、まるで意味がわからないというか、そのページが破られているみたいにぽかんと口を開けた。


そんな私にナツメ君はクスクスと笑って、だと思ったと呟いた。



「それ、返して」



指さされたのは私が握りしめていたナツメ君のスマートフォン。握りしめすぎて、変形したかもという不安のせいかおずおずと渡す。



「ごめ…」



「謝らなくていいよ、僕のためなのは見え見え。でも、人のために必死になりすぎ…紫音っぽいな」



「むぅ…私ってどんなよ」



子供扱いを受けてイライラして言い返す。だが、そんな姿さえ子供になっていて自分でも情けない。
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