金曜日の流星群
ナツメ君はニコリともしないで階段から姿を見せた。
私が倒れているのを見たからか、一瞬動揺して瞬きを数回。
ハリボテでも微笑んでいたナツメ君が真顔で静かに私を見つめていた。



「紫音に何したの?」



女の子達を見ることもせずに私ばっかりを見てるから私が責められてると錯覚してしまいそう。



「僕の話してたの聞こえちゃって、僕が何かしたんなら直接言ってくれたらいいよ」



穏やかな口調、言ってる内容も寄り添っていて優しいのにナツメ君は笑う素振りすら見せない。


普段笑っている人が笑わないってこんなに迫力があるんだ。



「ナツメ君…」



女の子達はツチノコでも見つけたようにナツメ君を見て固まっていた。口をぱくぱくさせて目は乾ききっている。
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