金曜日の流星群
「もしもし、草野です。」



『知ってる』



ナツメ君だ。
当たり前のことだけど、声が聞けるだけで胸がいっぱいになる。



「どうかしたの?」



『んー、あっ星が綺麗だよ』



私はベランダの鍵を開けて外に出る。マンションの中でも高い位置の部屋なので星が良く見える。



「うん。綺麗」


でも、特別きれいなわけでもない。
所々、雲が残っている。月も満月がちょっと欠けた程度だから明るくて星の光が濁っている。



「…それだけ?」



『そうだよ』



たったこれだけのために電話をしたって言うのだろうか。
そんなこと有り得るのだろうか。
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