金曜日の流星群
「……お母さん」



懐かしい顔。優しい笑顔。目元の泣きぼくろ。口角が上がるとできる鼻の横のシワ。私と似てる唇。顔のことだけでこんなに覚えてる。



「元気だった?」



「お陰様で」



動揺して目が泳ぎまくっている私にお母さんはニコリと笑う。

元気だった?

か。

ため息が出そうになり慌てて口を閉じた。



「立ち話もなんだし、とりあえず行きましょうか」




「い、行くってどこに?」



当たり前のようにすたすた歩い出すお母さんに食い気味に聞き出す。



「プリン食べさせるのが私の今日の仕事なのよ」


と苦笑を返されてわけも分からず頷くしかなかった。
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