金曜日の流星群

手紙

乾いた土、微妙に生えた雑草。

公園のジャングルジムに一人で登って、早く沈めと山に隠れようとしている太陽を急かす。

私の右には誰もいない。

花火の時、ナツメ君が左手じゃなくて右手を出してと言ったり、学校で女の子に囲まれた時ぱっと掴まれたのが右手だったりと私の右には常にナツメ君がいた気がする。

ジャングルジムでも、無意識のうちに左に寄って右のスペースが寒く感じる。


約束の金曜日。


ペルセウス座流星群は今回は10年ぶりの新月というピークが重なったこともあり、ニュースでも取り上げられていた。



でも、もうナツメ君はいない。


ナツメ君は三日前にいなくなった。
みんなに看取られて、口元にほほ笑みを浮かべたいつもの顔で召された。

ナツメ君がいない世界が想像出来ずにいた私は案外素直に進んでいく世界に驚いた。
明日にはナツメ君のお葬式があるそうだ。
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