金曜日の流星群
「あの夜の僕の綺麗事は僕の願望だ。でも欲望だってある。生きたいって思う。それを紫音は強制しない。ただ希望だけを与えてくれた。」



ミステリアスで謎めいていていつも笑っていて人気者。なのに悲しげで儚いナツメ君がそこには凛として座っていた。



「私は何もしてない、まだ何も出来てない」



私の言葉にナツメ君は頷く。事実だから仕方ないけどそこはせめてフォローしてほしかった。ちぃちゃんみたいにへたっぴなフォローでもいいから。



「紫音」



普段散々名前を呼ばれているのに、胸が大きく波打った。私の目の奥を見回すようにじっと見つめてくる。



「頼ってもいいかな」
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