報復の愛を君に。
帰宅ラッシュの時間帯。
仕事帰りの労働者たちが次々に駅へ吸い込まれていく。

そんな様子をただぼーっと眺める。
太い柱に背中を預けて。

「ごめん、待った?」

近くのベンチに座っていたスーツ姿の若いサラリーマンのもとに、若いOLが駆け寄っていく。

2人並んで、駅とは反対方向へと歩いていく。

あいつらは待ち合わせ成功者か。

俺の待ち人は来るんだろうか。

第二週目の水曜日。
携帯のカレンダーには、“花岡とデート”の文字。

1ヶ月以上も前のことだし、その後にもう会わないとか言っておきながら来てしまった…。

こんな約束、まだ生きてるとは思えないのに。
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