報復の愛を君に。
「もっと早くに着きたかったんですけど、壱にいに見つかってしまって…。
ようやく説得できたのがさっきで…」

あの男を説得したのか!?
何を言っても無駄としか思えなかったのに。

「どうやって説得したんだ?」

言葉を詰まらせたかと思うと、みるみる顔が赤くなっていく。

「へへっ、秘密です」

あ、撃ち抜かれた。
頭のなかではピストルの音が響いてる。

「まさか来るとはね…」

「私もですよ。
まさか梅原さんが待ってくれてるとは思いませんでした。
だけど、行かないと後悔すると思ったから」

「あぁ。
俺も、自分が納得できるまで待たないと帰れなかった」

そうなんですか?
と俺を見上げて笑う花岡を今すぐ抱き締めたくなる。

そんな衝動をぐっとこらえて、自分の心臓を落ち着かせるように適当に歩き出す。
< 119 / 127 >

この作品をシェア

pagetop