報復の愛を君に。
4.ジレンマだよね。
こいつ、どの面下げて俺の前に立ってんだよ。
しかもニヤニヤしてやがるし。

「山下、お前な!
親父に花岡のこと言ったろ!」

「え?言ったよ」

「俺は、黙ってろって言ったよな?」

「そうだっけ?」

くそ。
しらばっくれやがって。

「で、最近どうなの?
何か進展あった?」

人がムカついてんのに、よくそんな質問できんな。
こいつ、時々おかしいよな。

「あのな。
何勘違いしてるかしんねーけど、恋愛対象じゃねーからな、あんな女。

なんつーか…。
あ、そうだ。

希少な種に興味がわく感じに近い」

「じゃ、特に何もないってこと?
会ってもない?」

「…」

「何かあったんだ。
教えてよ」

グイグイ寄ってくるのをやめろ!
あとその目を輝かせるのもだ!

女子かよ、てめーは!

「飯に誘った」

「おぉ!それで?」

「それで…」

思い出したくもねーな。
あのときのこと。
< 54 / 127 >

この作品をシェア

pagetop