報復の愛を君に。
だが、区役所へ仕事をしに行くことなど、そう都合よくあるわけがなかった。

親父の関わる仕事に全て目を通し、どうにか区役所と繋がることはないかと探してみたが、なかなか見つからない。

こうして、花岡とは全く関わりを持てずに1ヶ月が過ぎようとしていた。

「1ヶ月会ってないんだね。
会いに行くくらいいいじゃん」

「また何て言って距離置かれるかわかんねーだろ。
あの女、平気で俺の誘いを断るんだぞ」

しかも、他の男を優先してな!

「拒否されるのが怖いんだ。

花岡さんに会って、渉変わったよね」

変わった?
俺が?

「別に変わってねーよ」

「そう?
少し前の渉なら、1人の女性にここまでこだわってないだろうし、小さなことをここまで気にすることも、怖がることもなかった。

人間らしくなったんじゃない?
もっと言うと、初めて恋した男の子ってかんじ?」

「初めての恋?
なんだそれ」

ばっからしい。
この俺を捕まえて初めての恋なんて、よく言えたもんだな。
学生時代から恋愛経験は豊富だし、百戦錬磨だ。

抱かれ待ちしてる女なんか数えきれないほどいる。
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