報復の愛を君に。
「悪いのはそっちだろ。
俺が歩いて来るのが見えたんなら道をあければよかったじゃねーか。

勝手にぶつかってきて転んで、難癖つける気か?
貧乏人のすることは本当に…」

パシン。

乾いた音が響いた。
次第に左頬が熱を帯びて、痛みを発しだす。

まさか、殴られた?

「何すんだよ!

お前、俺が誰かわかって…」

「そんなの関係ありません!
あなたは悪いことをしたんです」

「黙れよ」

胸ぐらを掴んで睨み付ける。

なんだよその目は。
びびってんのに、逸らさない、か。

随分と真っ直ぐで澄んだ目だな。
嫌いじゃないよ。

そういう目が絶望に変わったときこそ、支配欲が満たされるってものだ。
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