報復の愛を君に。
「今日誘わないとまた距離が広がると思ったんだよ。
だから多少強引にでも、行くべきだと判断した。

少しずつでもいいから、お前が作った壁を壊してやりたかった。
なんか、すっげー壁を感じんだよな。
他人行儀とか、そういうのじゃなくて、ここからは何人たりとも踏み込ませないっていう見えない壁。

俺の気のせい?」

ふるふると首を横に振った。

言葉を発しながら、花岡の胸に鋭く刺さっていっているのを感じた。

それでも止めなかったのは、ここで止めたらきっと後悔するから。

「気のせいじゃありません…。

私、誰かと距離を縮めて関係を持つのが怖くて。
無意識に遠ざけてしまうところがあって…。

親しくなりたいと思っても、どうしても恐怖心の方が勝ってしまう」

「その恐怖心が生まれたのは……

花岡が大葉荘にいたことと関係あるのか?」

木々のなびく音がやけに大きく聞こえる。
さっきまで静かだった公園が、ざわめきだす。
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