報復の愛を君に。
「本当は、梅原さんとももっと仲良くなりたいんです。
この間、梅原さんが区役所の前の横断歩道でお婆さんを手助けしたこと聞きました。
お婆さんがすごく嬉しそうに話してくれるから、私まで嬉しくなっちゃって。

なのに私はまだ…。

…梅原さんを、避けることしかできないんです…」

振り絞って話している。
ボロボロと涙を流しているというのに、俺はかける言葉が見つからない。

思うことは山のようにあるのに、ただ、座っていることしかできない。

ここで抱き締めるとか、そんなことをするのはもっと違う気がする。

何が受け止めてやるだ。
薄っぺらい言葉並べやがって。

結局肝心なときに何もできないんだ、俺は。
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