報復の愛を君に。
駐車場まで歩く2人の空気は重たいものだった。

これはまた、距離ができてしまったんだろうな。

「あれ、瀬奈?」

急に男の声がした。

顔をあげると、花岡の隣に若い男が立っている。

誰だ、こいつ。

あ…。

よく見たら、前に花岡と待ち合わせしてた男だ。
兄のように慕っているという…。

「壱にい…」

「瀬奈…?

何かあった?」

その男はすぐに花岡の異変に気がついたらしい。

こっちを睨み付けている。

あぁ、そうだよ。
花岡がそんなんになってるのは、俺のせいだ。

大体こいつ、瀬奈って呼んで、なんなんだ。
< 98 / 127 >

この作品をシェア

pagetop