Heart
経験したことのない息苦しさに視界がぼやけ始め、足元がおぼつかなくなってきた。
「…はぁ…はぁはぁ…はぁ…はぁはぁ」
この状態で外に行ける気もしなくなってきたのが正直なところだが
それよりもそんな甘ったれた考えが浮かんでしまう自分が、
1人では何もできない自分が、
憎くて惨めで、情けなくて…たまらない。
それでも私は
いや、だからこそ私は
足をとめることは許されないんだ。
自分が弱い、ということに気づきたくなくて必死に足を進めた
「はぁはぁはぁ…はぁはぁ…はぁ…
ゲホゲホっ…ゲホっっ…ゲホ
はぁはぁはぁ…はぁ…はぁはぁ…ゲホっ」
苦しくてたまらなくて
全身の血液が顔に集まってきたんじゃないかと思うくらいに、顔が熱を持った感覚をもった。
立つことを諦めそうになった時に
私の瞳には1つのドアから漏れる微かな光が入った。
(…あそこ…誰かしらはいるだろ)
ドアのすぐ近くに寄り、私の足は限界を迎えた。正直、足の感覚なんてものはとうに消えていた。
「はぁはぁはぁはぁ…はぁはぁ…ゲホっ
ゲホゲホゲホっっっゲホ
はぁはぁはぁはぁはぁ…はぁ」
私は苦しい胸を抑え床にへたりと座りこんでドアを見上げた
(…病室というよりかは小さな会議室のような雰囲気がある)