Heart
「結愛っ!
おい結愛っっ!」
意識が、ない。
当たり前だ、呼吸停止しているのだから。
響き渡る警告音に俺の思考回路は邪魔させる
色んなことを経験してきたが
初めて頭が真っ白になるという感覚を味わった。
とにかく早急に人工呼吸器に切り替えをしなければ、後々脳に影響が出てくる。
幸い、この病室にはありとあらゆる器具を用意している。
俺は咽頭鏡とチューブを手にし、器官挿管を行い人工呼吸器に繋いだ。
そこでやっと、けたたましく鳴っていた警告音は止まった。
俺は思考を妨げる存在が消えたことを境に冷静さを戻しつつあった。
が、病室が静かなのも一瞬だった。
部屋には荒々しく開けられたドアの音が響く
「おい、龍太っっ!
何ボサッとしてんだ!手ぇ動かせっ!」
「遥太…」
勢いよくドアを開けたのは遥太。その後ろには和也。
遥太「おそらくは肺炎だ。
断言できんが、今のところ多臓器不全は回避できそうだな」
モニターを確認しながら遥太は結愛の肺の音を聞いている
遥太「雑音が酷いな…。
CT室は空けてある。呼吸が安定したら急いで運ぶぞ」
「あぁ…、だがまだSpO₂が低いままだ。
酸素濃度上げるか」
遥太「あぁ、それとノルアドレナリン投与しとけ」
「いや、その前に採血する。
キットは?」
遥太「ほらよ」