Heart
白衣から取り出されたキットを受け取る
袋を開けて結愛の細い腕にゴムを巻き、きめ細かな肌に注射器を添えた
遥太「随分と血管が細そうだな
小児用の針に変えるか?」
「あぁ、血管が出てこないしな」
罪悪感というものを感じながらも結愛の腕を叩く
何とかして静脈血管にありつける
「……きた…」
遥太「やっぱお前は器用だな
急いで検査に回してくる。呼吸管理と薬の投与しとけよ」
「あぁ」
採血したキットを持った遥太が病室から出ていった後、また室内は静寂に包まれた。
結愛の鼓動を示すモニターの規則正しい音だけが鳴り響く。
点滴の針を刺そうとして結愛の腕を握る
細くて、柔らかくて
陶器のように真っ白で、すぐにでも消えてしまいそうなその触れた肌に
俺の唇はいつの間にか吸い寄せられていた。
「……結愛」
俺の呟いた声は窓を叩く風の音にかき消された
同時にモニターの音に変化が生じた。
人工呼吸器が結愛の自発呼吸を感知したのだ
「…よかった」
酸素濃度を下げ、人工呼吸器のレベルを変える
ノルアドレナリンを混ぜた点滴を投与し、結愛をベットごとCT室に連れて行く準備を始めた