Heart
結愛side
何かが規則正しく木霊している音が遠くで薄らぼんやりと聞こえる
瞳は開かないものの意識がはっきりとしてくると、その音はどんどん近づいて来ているようにも感じた
ゆっくりと重たい瞼を開けるとそこは一面花畑の光景が広がっていて……………
というわけではなかった。
ぼやける目に写るのは、ひたすらに白い世界
白い天井に白いカーテン、白い布団…。
(あぁ、ここは天国なんかじゃない…。
…………病室だ………)
私としてはあのまま死ぬつもりだったのだけどな
きっとまた、龍太さんが助けてくれたのだろう…
またしても迷惑を掛けてしまった。
それが辛くて仕方がなくて、迷惑しか掛けれない私がおめおめと生きていることが憎くてたまらなくなる
さんざん助けてもらっておいてこんなことを思うのは最低なんだろうけど
…死ねれば楽だったのに……
そう思う自分がいた。
カシャッ
突然仕切りのカーテンが開かれた。
「……結愛………」
(…龍太さん………)
私の喉には管が入っていて声を出すことはかなわなかった
何度見ても恐ろしい程に整ったその顔は少し驚いた表情をしている。
でも、ほんの少しだけやつれているようにも見える
そうさせたのは私だろうか…。