Heart
その美しすぎる人が長い綺麗な左手を伸ばし、私の頭にそっと触れ
壊れたものを触るかのように、そっと撫でた
「…結愛
今苦しくないか?苦しかったら手、握り返して」
私の右手に龍太さんの右手が触れた。
身体は、苦しくない…。
苦しいのは心。
私はどうしたらいいのか分からず、顔に笑顔を貼り付け、そっと触れていた手を離した。
一瞬だけ目を伏せ、私の頭においていた左手をぽんぽん、と動かした龍太さん
「そうか
少し音聞くぞ」
綺麗な長い手で聴診器をはめ、私のパジャマの中に腕を入れた
病室に再び静寂が訪れる。
私の身体は脱力しきってしまい、まるで自分の身体ではないような感覚に陥る。
伏せ目をしながらゆっくりと音を聞く龍太さんは、やっぱり様になる
「…ん。だいぶいいな」
私のパジャマと布団を丁寧に直してくれる。
「じゃあ、喉にささってる管抜くから」
一度カーテンの奥に消えた龍太さんは銀のトレーを持って戻ってきた
私の口元の器具を固定していたテープをゆっくりと剥がしていく
こうゆう時っていつも思うけど、目のやり場に困る。
「抜くぞ」
当然、違和感以外の何物でもない。
味わったことのない感覚に嘔吐きそうになる
管が抜かれると、想像以上に苦しかった
酸素が吸えないという恐怖を初めて知る。
すぐさま龍太さんに酸素マスクが付けられた