Heart
龍太さんに真剣な瞳で見つめられる
私の意思とは反して、いつの間にか瞳から一筋の涙がつたっていた
「………え……
ぃや…これは………違くて……」
握られてない方の手で急いで目を擦る
すると強い力で、でも優しく私の目を擦る腕を止めた
「……結愛」
諭されるように名前を呼ばれ、掴まれた腕をもとに戻された
「…泣いていい
無理に泣きやもうとするな」
「……ぃや…あの……これは……」
私の頬に龍太さんの手がかけられたと思うとそのまま細長い指で私の涙を拭いた
「……お前の心は疲れ果てている
泣くのを我慢するのは良くない…
感情を抑える必要なんてない。無理に笑う必要もない。
これ以上、心に嘘をつくな
最後にもう一度だけ聞く
……苦しいか?」
少し躊躇してから、私は握られていた右手をギュっと握り返した
「辛かったな、結愛」
龍太さんに再び頭を撫でらると、それを境に私の涙腺は音をたてて崩壊した
「……うぅ…う…」
とどまることのなく流れる涙をとめる術はなかった
理性が欠落し、赤子のように安心できる人の温もりを求めた私は、頭を撫でる龍太さんの腕を抱き寄せるように引き寄せてしまった
すると龍太さんはベットから私を横抱きに抱き上げると、私が寝ていたベットに腰掛けてから何も言わずに私を強く抱きしめた。
少し戸惑ったが、心に身を任せ、私は龍太さんの広い身体に包まれて顔を埋めるようにしてしばらく涙を流し続けた。