Heart
10分…いや20分たっただろうか。
目から出てくる涙が枯れてやっと理性が戻ってきた
心なしか少しスッキリしている自分がいる
泣きすぎて頭痛いけど…。
改めて自分が置かれている状況を考えるとありえない状態であることを認識した。
私の身体は長身の細身の見た目からは想像できないほどに広い背中と細長くて、でも骨でゴツゴツしている腕に包まれている。
誰かに見られたら殺される気がした。
意識し始めた途端に心臓がバクバクしてくる
私の心臓も大概単純なようだ。
いたたまれなくなって、ふと上を見上げた
宝石のような瞳の龍太さんと目があった
恥ずかしくて目を逸らしてしまいたいのに、なんだかその目に引き込まれてしまい身体が動かない
「…落ち着いたか?」
「……はい」
ありがとうございます、とお礼を言って龍太さんの腕の中という楽園から抜け出そうとしたが、それはかなわなかった。
龍太さんの腕に強く固定され、先程よりも密着が高まってしまった
「…あの……龍太さん?」
「……しばらく、このままで…。
無理に返事しなくていいから…話だけ聞け
張本人であるお前になかなか言わなくて悪かった
余計に不安にさせたな
今から話すことは、お前自身がおかれた状況の真実だ
……そろそろ現実を見ないとな…」