Heart


それから私は龍太さんの暖かくてかたい胸に顔を埋めながら、上から降ってくる龍太さんの言葉に胸を騒がせていた



龍太さんは言葉を選びながら、ゆっくり、時折私の顔を覗いては頭を撫でて落ち着かせるように、でも確実に私に真実を告げた


間違いなくそれは私が望んだことであったが、怖くないと言えば嘘になる。


現実逃避し続けられたらどんなに良かっただろうか…。


知りたくなかったことも、告げられた。


具体的に言えば


私の所有権は瀬尾組から黒崎組に正式に譲渡されたが、確実に私自身の身柄が安全だと言いきれるまでにはしばらく時間と情報操作が必要であること



私の両親は瀬尾組から黒崎組に引き渡された後、黒崎組によって警察に突き出されたこと


両親によって私は学校を辞めさせられたらこと


であった。


正直、驚くことはなかった。


というか、はっきりと理解出来ていなかっただけかもしれない


どこか他人事のようにも聞こえて、耳から入った情報は右から左に流れて行く自分がいた。


抱きしめられていた身体は少しだけ離され、龍太さんの宝石のような輝きを持った目で顔を覗きこんで言った


「……これが真実だ…

すぐに理解しろとは言わない


少しずつでいいから、今自分が置かれている状況を受け入れろ


すぐにとはいかないかもしれないが、俺たちがお前を普通の生活に戻してやる


お前は何も心配しなくていい、不安に思う必要もない


ただ、身体を治すことだけ考えてろ」


いいな?と呟いてからまた龍太さんは私を腕の中に包みこんだ


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